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食品ロスとリサイクル 〜企業が取り組む「食べ残しのその先」〜

目次

日本では年間約523万トン(※2022年度)もの食品ロスが発生しています。そのうち約275万トン(全体の過半数)は、スーパー・飲食店・食品工場などの事業系食品ロスです。

 

この食品ロスに対し、企業には“「食品リサイクル法」に基づく削減・再資源化の努力義務”が課されています。違反すれば、指導や命令、罰則の対象になることもあります。

 

一方で、食品残渣(ざんさ)をうまく活用すれば、「環境貢献」「コスト削減」「企業価値の向上」といった大きなメリットも得られます。

 

この記事では、食品関連企業が知っておきたい食品ロスのリサイクル手法や、近年注目のバイオガス化、そして今すぐできる取り組みを事例とともにご紹介します。

 

 

食品ロスはどこから出ている?

 

食品関連事業で発生する主な業種と食品ロスの例

 

  • スーパー  売れ残り食品、規格外品、期限切れ商品
  • 飲食店   調理くず、食べ残し、仕込み過剰分
  • 工場    製造過程の端材、品質不良品、廃液など

 

これらは従来「廃棄コストがかかるだけのゴミ」とされていましたが、現在ではリサイクル可能な資源として捉え直されています。

 

 

主なリサイクル方法と導入のポイント

 

  • 飼料化(フィードリサイクル)

 

乾燥や発酵などにより、食品残渣を家畜用の飼料に加工します。焼却処分と比べてコストを抑えられる場合も多く、導入企業が増えています。

 

対象:パンくず、麺類、調理済み食品など

メリット:廃棄コスト削減/循環型畜産への貢献/補助金対象事例もあり

 

 

  • 肥料化(堆肥化)

 

発酵・分解によって、食品残渣を有機肥料(堆肥)にします。自治体や農業法人と連携し、地域循環の一環として導入されるケースが多くなっています。

 

対象:野菜くず、果物の皮、米ぬかなど

メリット:地域農業との連携/環境報告書でPR材料に

 

 

  • バイオガス化(メタン発酵)

 

近年、注目されているのが「バイオガス化」。食品残渣をメタン発酵させ、“再生可能エネルギー(ガス・電気)”として活用する仕組みです。

 

対象:総菜・弁当の廃棄品、残飯、食品工場の廃液など

メリット:エネルギー回収/脱炭素貢献/電力自社消費にも応用可能

 

 

導入企業の取り組み事例

 

  • スーパーチェーン企業

 

売れ残り弁当をバイオガス施設へ運搬し、発電した電気を自店舗で使用。年間1万kWhの電力を再生可能エネルギーに置き換え。

 

  • 食品加工業企業

 

麺類やパンのくずを飼料化し、契約農家の豚の飼育に活用。「リサイクル豚肉」として店頭でも販売し、ストーリーある商品開発に成功。

 

  • 外食チェーン企業

 

調理くずを堆肥化→契約農場で野菜生産→自社店舗で提供。循環型モデルによる企業ブランディングを強化。

 

 

フードバンクとの違いは?

 

食品ロス削減には「フードバンク」という手段もあります。混同されがちですが、リサイクルとは目的と対象が異なります。

 

フードバンクとは、安全に食べられるのにもかかわらず、包装や印字のミス、過剰在庫などで流通に出せない食品を企業などが寄贈し、必要な施設や団体、困窮世帯に無償で提供する団体及び活動のことです。

 

目的:食料支援・福祉

対象:食べられる未使用食品 

活用先:こども食堂、福祉施設など 

 

バランスよく活用することで、社会的責任と環境配慮を両立できます。

 

 

法令と義務:知っておくべき「食品リサイクル法」

 

「食品リサイクル法」では、年間100トン以上の食品廃棄物を出す事業者に対し、再生利用等実施率の目標達成が義務付けられています。

 

✅ 2023年以降の目標:再生利用率50%以上(業種により異なる)

✅ 達成できない場合は、環境省・農林水産省による「指導・公表・命令」の対象になることも

 

早めの対策・導入が企業のリスク回避にもつながります。

 

 

明日から始める3つのアクション

  1. 社内で「何が、どれだけ捨てられているか」を見える化
  2. 地域のリサイクル事業者やフードバンクと連携
  3. 環境報告書・CSR資料に「食品ロス対策」を明記しPR

 

 

まとめ:食品ロスのリサイクルは“次世代の経営戦略”

 

食品ロスのリサイクルは、単なる義務対応にとどまりません。企業価値の向上、ブランド戦略、さらには脱炭素やSDGs貢献へとつながる“次世代の経営戦略”です。

 

「食べ残し」は、正しく扱えば資源にも、エネルギーにも、社会貢献にもなります。

今こそ、あなたのビジネスにも「循環の視点」を取り入れてみませんか?

 

当記事でのご不明点や食品残渣の処理にお困りでしたら丸神商事株式会社 環境事業部にご相談下さい。

 

 

丸神商事株式会社では、現在「京都SDGsパートナー制度」に登録をしており、環境問題への取り組みにも参加しております。

環境問題にご興味がございましたら、是非こちらもご覧ください。

 

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